文書の文末あたりに「末筆ながら・・・」ではじめる、相手を思いやる表現です。別れ、例えば転職や退職での離職のあいさつやそれへの返事などで使われます。どちらかというと、目上の人に対してはあまり使わない、と言いますか使いにくい表現です。
就職活動で不採用通知に使われる表現なのでネガティブなイメージでとらえられることが多いですが、本来は相手を尊重して丁寧にねぎらう言葉です。
転職、退職時のあいさつメール文などに使う
関係が近いと使い方がむつかしい表現でもあります。相手からすれば「断絶」を感じてもしまう表現です。「断絶」とまでいかなくても、「立場の違い」「いるところの違い」が明確になる表現でもあります。距離のある関係だとむしろその方がいいのかもしれません。関係性が変わることを明示することになります。
関係が近い相手に「今後のご活躍を…」なんて書いてしまうと「もう会わないんかい!」と相手に今生の別れのように感じさせてしまわなくもありません。
しかし、そういった相手にこのような子持ちを伝えるのは思いやりであったり、エールであったりします。相手との関係性の強弱での使い方の例を考察していきます。
文例はビジネスメール、送付物への添え状、送付票、FAX送信票、ビジネスレターなどで使えます。
この表現は本文の終盤に挿入します。用件への記述が済んで、文面の締めにかかるところです。「末筆ながら、○○様の・・・」とはじめるとなおよいでしょう。
「これからのご活躍を祈念しています。」
相手を思いやる表現としてはオーソドックスなものです。
「お祈りメール」もこの一種ですが、ビジネスの世界では広く使われるものです。
文例1 「末筆ながら」+
「末筆ながら」+「くれぐれも、お体ご自愛下さい」「健康にはくれぐれもご自愛ください」「これからのご活躍を祈念しています。」 ※文末の表現は入れ替えられます。
少し近しい雰囲気の表現 「末筆ながら」+「健康にはくれぐれもお気を付けください」
文例2 「末筆ながら、○○様の」+
「末筆ながら、○○様の」+「ご健勝をお祈り申し上げます」「ご健康を祈念いたしております」「ご多幸をお祈りいたします」 ※文末の表現は入れ替えられます。
少し近しい雰囲気の表現 「末筆ながら、○○様の」+「これからのご活躍を祈念しています」
気配りで気の利いたビジネス文書に
この思いやるフレーズを入れてみると気の利いたビジネス文書になります。少し近しい人への少し砕けた表現は、断絶よりも継続した感じを出しています。この文書のやりとりの後も、引き続き会うことがあるイメージです。別れのあいさつとはいえ、お互い今後どこで顔を合わすかも、かかわりができるかもわかりません。ちょっとした配慮でスムーズな人間関係を維持しましょう。
長く使ってなかったこの言い回しに気づいてから、ほんの時々、使うことがあります。就活の時の良くないイメージがあるので、きちんと誠意が伝わるように(突き放した感じに受け止められないように)前後の文脈などに気を使っています。